建築設備の図面に関わる方は、施工図を専門とする図面屋さんやCADオペレーターさんだけでなく、
設計監理に携わる方、施工管理に携わる方などたくさんの立場の方が存在します。
施工図は設備の知識が無いと描くことも見ることも非常に困難です。
特に実際に施工図を作図したりチェックする立場となると、初心者は何から手を付ければよいかわからないこともあるでしょう。
是非そんな初心者の方に見てほしい”施工図の教科書”となる書籍をご紹介します。
それが「特定非営利活動法人(NPO)設備システム研究所」が発行している「初級技術者のための施工図作成マニュアル」です。
こちらは2008年に初版が出版され、今では多くの設備関連会社にて新入社員の研修・マニュアル本として活用されています。
内容は空調設備編と衛生設備編で2冊構成になっています。
細かい中身の公開はもちろんできませんが、半分以上が図面や写真で構成されているため初心者でもわかりやすい内容となっています。
たとえば「建築図の分類」として図面の種類の解説から図面上のシンボル表記の説明、
躯体図の梁記号の見方、平詳図の仕上げ図の見方などから設備の凡例・機器の名称と機能の解説など、
本当に何も知らない初心者にも必要となる情報が記載されています。
また天井配管図、スリーブ図、インサート図、機械室の図面など、文字表記から寸法の入れ方まで
見本となる図面とともに載っている他、やってはいけない施工・作図事例なども理由まで細かく解説されており
仕事に慣れてきた4~5年目クラスや中堅クラスでも十分勉強になる内容となっています。
そしてこのマニュアル本の最新第4版である「施工図作成マニュアル Rev.4」が
2023年5月1日に発行されたため、今回ご紹介と追記された内容などを少しご紹介します。
今回Rev.4では、わかりやすいカラーページの追加など、大幅な改定がされています。
ページ数だけみても、空調が205P→273P、衛生が312P→401Pと大幅に増ページされています。
並べてみても厚さは一目瞭然。
中身は細かく各所が更新されており、各図の躯体がわかりやすくペイントされていたり、文字や詳細図の中身も多くが更新されています。
べからず集など細かいところもいくつか追加されていますが、大幅に追加されたのが
「点検スペース・メンテナンススペース」「配管ユニットの事例紹介」「スリーブ・インサート」の項目です。
スリーブインサートは第3版からありましたが、Rev.4では材料の細かい種類に使用する場所、スリーブサイズ選定表、
梁貫通の一般基準(スリーブ同士の離隔・梁成に対しての設置可能範囲)など、初心者にとって必要な基礎知識が追加されています。
メンテナンススペースでは3DCGの画像データなどより視覚的に分かりやすく解説されているので、
本当に何も知らない新入社員の研修教材としてもかなり効果を発揮できるのではないでしょうか。
初級技術者・未経験者向けの設備の基礎知識としてのマニュアル本は数多くありますが、
施工図の描き方をここまで詳細に描いている本を他に私は知りません。
時代の経過とともに技術も進歩し、図面の描き方や表現の仕方、ルールも少しずつ変わってきますが、
常に最新の情報を取り入れて更新されている、この「施工図作成マニュアル」は私も今でも日常的に活用しています。
Rev.4は空調編が4,000円、衛生編が4,800円と決して安くはありませんが、金額の価値は十二分に発揮できる内容ですので、
是非まだ持っていない方、最新版が気になる方はご購入も検討してみてはいかがでしょうか。
また他にも2020年に発行された「建築設備技術者のための空調・衛生設備ディテール集」も発行されています。
こちらはまた別の機会にご紹介しますが、特に施工管理を行う方には必須アイテムになること間違いない書籍です。
気になる方は是非手に取ってみてください。
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