設備施工図作成時に現場を知らないと見落としてしまいトラブル要因になる注意ポイントをご紹介します。
紹介する内容はあくまで全体の中のほんの一部分ですが、ベテランでも見落としてしまいがちな大事な内容です。
今回は建築図に関わる3つの内容をピックアップしてご紹介します。
特に未経験・若手の方は参考にして作図するとより良い施工図が描けるようになると思いますのでご活用ください。
その1 建具扉の補強に注意!
廊下から部屋に渡る配管を作図する際に、開き戸や引き戸など扉の上を通過させる場合があります。
その際に、扉の両サイドには平面図上では見えない『開口できない補強』があるため注意が必要です。
平面上に作図されている扉の絵は、扉の枠まで表現されています。
実際に施工する際はその枠を固定するための補強LGSが扉枠の両サイドに建てられます。
補強材の上を通過する形で配管をルーティングしてしまうと、
補強は簡単に変えられないため現場でルートの変更を余儀なくされる可能性が高いです。
作図時に扉から150以上、余裕をみて200程度を補強の範囲と認識し避けて作図することが理想的です。
どうしても角ダクトなど通過が余儀なくされる場合は、検討時に「扉補強に干渉、建築と要協議」など
現場担当に伝わるようにすると、事前に打合せができトラブル回避に繋がります。
その2 区画壁と並行する配管はできる限り1m以上の距離を離そう
区画壁とは、防火区画や114条区画などを総称して言います。
区画壁は基本的にスラブtoスラブにて施工され、現場では基本的に設備配管よりも先に施工されます。
防火区画などはボードを全面に施工する必要があり、上階スラブ下まで作業が必要になります。
また配管を貫通する場合、その貫通部も耐火性能を保持するために耐火貫通処理を施す必要があります。
そのため配管を先に施工してしまうと、ボードの施工や貫通処理に影響が多く生じてしまいます。
基本的には区画壁は先に施工しますが、最近の現場は全体の工程が厳しいことが多々あり、
壁を施工する前の何もない状態で配管を早い段階で施工するために、設備が先行して乗り込むことがあります。
その際に区画壁の貫通配管を残し、貫通部以外の配管を先行して施工することが多いのですが、
区画壁に並行する配管を壁に近い位置で先に施工してしまうと、ボード貼りが施工できなくなってしまいます。
そのため、ボードが施工できるように区画壁から1m~1.5mの範囲は先行施工はNGとすることが多くあります。
納まりにある程度余裕があれば、メイン管を区画壁から離して検討することで施工時に非常にメリットを発揮できる可能性があるのです。
図面作図時にはなかなか気づかず、正直現場の経験があっても見落としてしまいがちな内容ですが、
気を使って作図するだけで「製図のプロ」に近づくことができるので、是非施工担当者と相談しながら検討してみましょう。
その3 スライティングウォールには要注意!
平面図で壁と同様に作図されていて見落としがちなのがスライティングウォールです。
「移動式間仕切り」「SW」などで平面図上に表現されていることが多いです。
スライディングウールは会議室などでよく使用され、
天井下で複数の板をレールに沿ってスライドさせ簡易的な間仕切りを作ることができます。
この壁板の荷重は天井から支えることができないためスラブから強固な補強を設ける必要があります。
配管などを間仕切り上を通過させる場合に、その補強材に干渉すると施工ができないため注意が必要です。
平詳データだけでは確認できないことがほとんどのため、必ずスライディングウォールの個別製作図を確認する必要があります。
情報が入手できない段階でも、スライディングウォール全体に雲マークを記載し「天井内SW補強要調整」など記入するだけで
施工前の検討漏れを防ぐことができますので活用してみましょう。
如何でしたでしょうか。
CAD初心者はもちろん、施工管理の経験がある方でも見落としがちな内容になります。
現場担当者が図面屋さんが作図した施工図をチェックする際にも重要なポイントとなりますので抑えておきましょう。
『株式会社PFC』は”現場のいち担当者”として作図協力を行う設備施工図製作会社です。
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