YouTubeチャンネルにて『勉強会動画⑤』をアップロードしました。
今回は「給排水衛生設備」の配管編として、配管材や継手、施工に関わる共通事項をまとめています。
動画内で説明している内容の補足をスライド毎に簡易的に解説します。
内容は業界経験2年~5年生あたりが対象となります。
給排水衛生設備
1.配管作図


建築設備で扱う配管材はかなり多くの種類が存在し、配管の材質が異なると継手の施工方法も異なってきます。
配管の用途によって使用してよい材質が変わるため、まずは使用する系統と場所などで品質を考慮した上で配管材を選定していきます。
しかし、最終的に最も重要になるのがコスト面です。
管種によってコストは全く異なるため、工事を請け負う場合には必ず使用する配管材を事前に決めた上で見積を行います。
費用の高い材料ほど品質や性能が高い場合が多いですが、品質のみに着目し全ての配管をステンレスにしてしまえば莫大なコストがかかってしまいます。
お客さんの求める品質と予算に合わせて、低コストでも同等の品質のものを提案するVEを行うことで、配管に係る費用を抑え、他に設備の増設や追加要素の補填にすることもできます。
また昨今は工期が短い現場も多く、施工効率の良い工法や保温の不要な管材を選定し総合的な施工工数を減らしていくのも一つの手法です。
様々な側面から管材を最終的に選定していきますが、特に図面の視点からは納まりにも大きく影響する可能性があるため、決定した管材・継手で作図することが必要になります。


配管の基本となる鋼管。「白ガス管」と呼ばれるものは配管に亜鉛メッキ塗装がされていて、消火配管や空調配管など様々な用途に使用されます。
亜鉛メッキを施す前の配管が「黒ガス管」と呼ばれ、主に蒸気配管に使用されます。
蒸気は高温になるため白ガス管を使用すると亜鉛メッキがはがれてしまうため、黒ガス管を使用しなければなりません。
また給水用・排水用の鋼管は塩ビライニングが施されたものを使用します。
鋼管にも様々な種類がありますが、その継手の種類・工法も数多く存在します。
特に注意しておきたい点としては、継手の種類によって継手そのもののサイズが異なるという点です。
CAD上で何も設定しない場合、多くは標準のねじ込み配管で作図されますが、MD継手やフランジ配管となる場合は同じ継手間で作図しても実際には施工できない可能性が生じます。
特に機械回りやシャフト立管廻りは納まりが厳しくなるため、使用する材料をしっかりと確認した上で作図に反映することが重要です。


塩ビ管は鋼管よりも低コストで接着工法となるため施工性も向上します。
排水用だけでなく、給水・給湯用の塩ビ管も存在しますが、サイズはある程度限定されるため選定時は要注意です。
気を付ける点は、使用する系統が圧力のかかる配管かどうか。
通常の排水用継手がDV継手に対し、圧力用はTS継手を使用します。
継手のサイズが大きくことなるため、系統を理解した上で作図に反映しましょう。

ステンレス管は溶接や加工管で施工する場合もあります。
ただ給湯配管に使用する場合に、小口径はメカニカル継手を採用することが多いです。
メカニカル継手の中でも拡管式やプレス式などいくつか工法が存在しますが、それぞれ継手の大きさも変わってくるため、こちらも使用する工法を最初に確認して作図に反映しましょう。

最近ではかなり主流になってきた高性能ポリエチレン管。
メーカー名ではエスロハイパーとして有名です。こちらは電気融着という工法になりますが、施工するためには専用の工具と資格が必要になります。
2点を電極で結んで機械で自動的に電気融着を行い、正確に接合が完了したら電極付近の穴から突起が出てくるため施工の見える化にもなります。
耐震性能だけでなく、腐食や誘導電流にも強いため、埋設配管から立管に使用することでその効果が発揮されます。
特に給水管のメイン管が100A以上となる場合、基本的にフランジ継手を採用し加工管の対応が必要になります。
コスト面や施工の融通を考慮し、エスロハイパーを選定する場合がありますが、一点注意点として継手がかなり大きくシャフトなどで使用する場合は納まり検討に注意する必要があります。
特に初期にねじ込みにて検討して、途中からエスロハイパーに変更したら納まらなくなってしまった、などのトラブルも起こりかねません。
設備CADソフトの多くは、配管の管種を一括変換する機能があります。
「一度作図したから変更が大変」と思わず、機能を使いこなし全体図面に反映するようにしましょう。


配管支持ピッチはインサート図を作成する際に重要になります。
配管支持は系統ではなく使用する管材により決まるため、この時点で管種を把握していることが重要です。
配管振れ止めは国交省と耐震指針で条件が異なります。
特に耐震指針の場合、「配管支持ピッチの3倍以内」が基本条件となるため、管材によっては設置する箇所数が大きく異なるため検討前に必ず確認して抑えておきましょう。
2.衛生設備 配管作図

排水管の勾配は基本的なルールが定められています。
特に枝管など65A以下の細い配管は1/50で検討する必要があります。
CADで作図する際は一括で条件設定を反映することもできるためあまり気にしないかもしれませんが、一括で1/100など設定を反映してしまうと勾配が緩くなってしまうミスもあるため要注意です。

配管には保温を行う場合があります。
特に保温が必要な系統は作図時にしっかり反映することが大切です。
梁下や配管交差部分など、納まりが厳しいのでギリギリに作図していた場所が保温を入れたら干渉していた、なんてこともよくあります。
特に自分で設定しないと保温は自動作図されないため、作図中や作図後に意識的に保温を入れて干渉調整を行いましょう。

ねじ込み継手は継手同士の離隔を必ず設けましょう。
理想は短管が100mm以上確保できるように作図時に意識すると良いです。
継手同士が近すぎる場合、全ねじニップルや丸ニップルなどで施工すること自体は可能ですが、パイプレンチが入らずにカシメがうまくいかなかったり、ねじ込みが正しくされているかの確認も困難になります。
漏水の要因となる可能性が非常に高いため、確実な施工をするためにも意識して作図することが非常に重要です。

ねじ込み配管は一般的に80A以下までに採用され、100Aを超える場合はフランジを採用します。
フランジになると基本的に工場加工で施工するのですが、直管部分は両側がフランジの状態で搬入されてくるため、スリーブを通す際にスリーブがフランジよりも小さいと配管を通すことが困難になります。
片フランジでの加工管など対策は可能ですが、製作時に意識的に対応しないといけないため、基本的には「スリーブサイズはフランジ外形以上」を意識して選定することが大切です。

PS立管は床スリーブを検討する上でも必要になるため、初期段階から納まりを確定する必要があります。
立管は固定する必要があるため、軽量壁の場合は自立の振れ止め鋼材を設置します。
振れ止め鋼材も高さやアングルサイズなど現場によりルールが変わってきますが、検討初期段階ではそこに意識がなかなか向きません。
仮作図段階で床スリーブを決めることも多いですが、その場合も振れ止めが入る配置で検討すること、バルブのメンテナンスが可能な配置を意識することが大切です。
人が入れない、手が届かないといったことが生じないように、早い段階から詳細検討することをオススメします。
動画の内容とはまた違った側面で記事を書いていますので、動画と合わせてご確認いただければと思います。
次回動画は「衛生設備 給水・排水通気編」を2025年10月15日(水)更新予定です。
この度、YouTubeにて「建築設備の図面屋さん」チャンネルを新規開設いたしました。
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このチャンネルでは、建築設備の勉強会、設備CADの操作知識、資格試験の解説に関する動画などを公開していく予定です。
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