株式会社PFC 代表の松葉です。
YouTubeチャンネル「建築設備の図面屋さん」の第18回勉強会は、「給水ポンプ」の周りについて深堀していきます。
受水槽から建物内へ水を送り出す「ポンプ」は、振動対策やメンテナンス性の確保など、配管の「並び順」ひとつで現場の品質が大きく変わる場所です。
今回は、設計図だけでは読み取れない、施工図屋が「現場の職人さんのために」配慮すべきポイントを整理します。


目次
1.給水ポンプの種類:直結ブースターと受水槽用ユニット

給水方式によって、採用されるポンプの形状は大きく異なります。
- 直結給水用ブースターポンプ: 受水槽を介さず、水道本管から直接加圧して給水するタイプ。中規模マンションやビルで採用されます。
- インバータ自動給水ユニット: 受水槽を介して給水するタイプ。使う量に合わせてポンプの回転数を制御するため、省エネ性に優れています。
現場の用途やメーカーによって形状やサイズが大きく変わるため、まずは納入仕様書を正確に把握することから始めましょう。
2.ポンプ廻りの配管と「弁の並び順」の鉄則

ポンプの吐出(出し)側の配管には、絶対に守らなければならない「並び順」があります。
【鉄則】防振継手 → 逆止弁(チャッキ) → 仕切り弁(ゲート)
なぜこの順番なのか?
それはメンテナンスを可能にするためです。
逆止弁はゴミを噛んだり故障したりしやすい部品です。逆止弁のあとに仕切り弁を配置しておくことで、「仕切り弁で水を止めてから、逆止弁を取り外して掃除・交換する」ことが可能になります。
ここを逆にしてしまうと、配管内の水をすべて抜かない限りメンテナンスができない「ダメな図面」になってしまいます。
3.機器接続口と配管サイズの調整(レジューサー)

ポンプの「接続口径」と、設計上の「配管径」は必ずしも一致しません。多くの場合、ポンプの接続口の方が小さくなります。
作図のアドバイス
径が異なる場合は、機器の直近でレジューサー(管径変更)を入れて調整します。
大事なのは、「フレキやバルブなどの役物は、配管径に合わせる」というルールです。
配管が65Aなら、フレキもチャッキもゲートバルブも65Aを使用します。機器側を基準にしてしまうと、流量不足を招く可能性があるため要注意です。
4.ウォーターハンマーを防止する「衝撃吸収式」の選定

高層ビルや大規模マンションなど、揚程(持ち上げる高さ)が高い現場では、ポンプ停止時の衝撃音「ウォーターハンマー」が大きな問題になります。
一般的な「スイング式」のチャッキバルブでは、水が戻ってくる時の衝撃を抑えきれません。
その場合は、スモレンスキチャッキ弁やウエハチャッキ弁といった、スプリングで衝撃を吸収するタイプの選定が必要です。
これらは形状が大きくゴツいため、事前に図面上で収まりを確認しておかないと、他の配管や壁に干渉するトラブルの原因になります。
5.見落とし厳禁!「試験用排水」のトラップ処理

給水ポンプユニットには、試運転や点検のために「試験用排水管」が必ず必要です。
小規模な現場の設計図ではこの検討が漏れていることがありますが、施工図屋としては無視できません。
- 間接排水の徹底: 排水管へはホッパーを介した「間接排水」とします。
- トラップの設置: 排水本管へ直接つなぐと、ホッパーから臭気が上がってきてしまいます。必ずCトラップなどを設けるか、外構であればトラップマスを経由させる計画を立てましょう。
6.まとめ:現場で「メンテナンス」をしている姿をイメージする
給水ポンプ周りの作図は、単に線を繋ぐだけではありません。
「職人さんが弁を交換するときに手が入るか?」「水を止められるか?」「臭気でクレームにならないか?」
こうした「運用・メンテナンスの視点」を1枚の図面に込めることで、現場からも施主様からも信頼される高品質な図面が完成するので覚えておきましょう。


