みなさんこんにちは。株式会社PFC 代表の松葉です。
昨今ではBIMという言葉が当たり前になって久しいですが、BIM自体はまだまだほとんどの現場で活用まで至っていないのが現状だと思います。
今回は改めてBIMを知らない方にも少しイメージしやすいよう、近年の動向を踏まえてお伝えしつつ、建設業界の最新ソリューション体感イベント「Archi Future 2025」に参加して収集した最新情報をピックアップしてご紹介したいと思います。
動画での解説を行っている他、ブログでは少し細かくイベントに参加してきて得た情報や感想などを記事にまとめていますので、ご興味ある方はぜひご視聴ください。
目次
1.Archi Futureとは?建設分野の最新ソリューションを紹介!

2025年10月23日に「Archi Future 2025」のイベントが東京ビックサイトのTFTホールにて開催されました。
毎年行われているこのイベントは、建設業界のICT技術や最新ソリューションを紹介する行事で、特にCADやBIMのメーカーが集まり新規リリース情報や最新機能紹介などを行うため、普段3D-CADを扱う立場の方は一度に多くの最新情報情報を仕入れられる絶好の機会です。
参加費は無料ですが、事前に登録や予約が必要になります。
参加企業はTFASのダイテックやRebroのNYKシステムズはもちろん、設備以外にも建築や土木に特化したCADメーカーや測定機器・パソコンメーカーなど数多くの企業がブースを構えています。


メーカーの紹介ブースのほかに、「講演会」「セミナー」「テクニカルフォーラム」を1日を通して複数の部屋にて同時開催されます。
基本的に事前予約制のため、人気のフォーラムなどは早い段階で満席となってしまうため、来年以降に参加したい方は是非9月頃からチェックしておくようにしましょう。

今回私が参加したセミナーはCADメーカーとBIM関連がほとんどです。
BIM関連のセミナーは毎年増えてきている印象ですが、今年に入り「AI」と「建築確認」というワードが増えました。
個人的にAIの取り組みは他の業界に比較すると建設業は一歩遅れている印象がありますが、それでも大手企業が率先してAIを活用した取り組みを進めています。
設計・施工・CADオペといった立場から、土木・建築・設備といった分野もさまざまあるため、それぞれ自分が気になり吸収したい内容を選択して勉強できる年1回唯一の機会ですので、ぜひ興味ある方は来年以降参加を検討してみてください。
2.知っておきたい建設業界の事象や用語
BIMという言葉は、業界に関わっている方であれば一度は耳にしたことがあるかと思います。
でも、「BIMって何?」と聞かれて正式に答えられるでしょうか?
設計が言うBIM、現場が言うBIM、大手ゼネコンが言うBIM・・・。
BIMの捉え方や概念が立場や現場規模によって違っており、本来のBIMの在り方が不明確になっている印象があります。


本来のBIMは、3Dモデルに様々な情報を入れて管理する考え方で、建物を計画する設計段階から活用していき、施工はもちろん、最終的に建物の維持管理までを一気通貫で行うことが本来のBIMの考え方になります。
建築設備の施工は比較的早い段階から3D-CADが標準化されており、3Dモデルにおいては建築や設計よりも先に進んでいます。
そのためBIMの取り組みも比較的抵抗なく進められるイメージですが、問題は建築情報です。
意匠図・構造図も全てBIMデータに3Dモデルで作成するとなると、施工図自体を3Dで作成していく必要があります。
構造鉄骨は3Dモデルの取り組みがかなり進んでいますが、意匠的な仕上げは未だに二次元での取り合いが一般的です。
現場で納まりを検討するために建築と設備でBIM会議を行う現場も少しずつ増えてきています。
その場合は意匠図も3Dモデルを作成していきますが、最終的に施工する図面は二次元データでまとめることが多く、そうなるとあくまで3Dモデルは納まりの取り合い確認程度に留まってしまいます。
本来のBIMの取り組みは、特に建築や他設備の分野が追従するのに大きなハードルがあると言えます。



特に設計図面はほとんどの現場で2次元データで作成されています。
本来のBIMを推進するためには、設備に限らず建築図含め設計段階から3Dモデルに起こしていく必要があります。
しかし今までは設計会社が3Dモデルを起こすメリットが少なく、3Dモデルで作成しても慣れない作業で工数がかかり、そのモデルを施工者が利用するかもわからない。仮に利用したとしてもその分の設計費を安く抑えられるわけではない。
あまりに設計が3Dモデルの取り組みを始めるにはメリットが無さ過ぎました。
そこで、国が2025年から確認申請をデジタルデータにて実施できる取り組みを開始しました。
2026年にはBIMでの図面データ申請、2029年にはBIMデータだけで確認申請が行えることを目指しており、WEBによる申請が可能で審査期間も短縮できるため、設計会社の3Dモデル作成の取り組みに大きなメリットを産み出す取り組みが始まっています。
すでに一部の事業ではBIM活用への補助金も出ており、これが加速すれば本格的に3Dモデルでの設計が進んできます。
またすでに進んでいる設備分野においては、大手7社が2023年にBIM研究連絡会を発足し、BIM推進において標準化を図る目的で活動を開始しています。
大手ゼネコン会社では自社内で3Dモデルを作成しフロントローディングを実施していく取り組みが各社で行われています。
建設業界は超大手から大手・中堅・小規模会社まで、会社規模も物件規模も多岐にわたります。
そして新たなソリューションは超大手企業・超大型物件を中心に取り組みが進み、次第に中規模の物件にも普及が進んでいきます。
BIMが本格的に身近になるのはもう少し時間がかかりそうですが、それでもここ10年間の中でゼネコン・サブコン・そして各メーカーが徐々に基盤を作り始め、今後大きな動きになっていくのだと思います。
3.株式会社ダイテック TFASとLinX
ここからはArchi Future2025の企業ブースやテクニカルフォーラムなどに参加した中で、気になる同行を一部ピックアップしてご紹介します。


まずは設備CADのメーカーとして有名なダイテック社がTFASの次世代BIMソフトとしてリリースしている「LinX」についてご紹介します。
といっても細かい機能や内容については割愛しますが、LinXはリリースしてすでに5年以上が経過しているソフトで、現在V6までリリースされています。
当初、TFASよりも3D-CADとしてBIM作成に特化した全くの別ソフトとして発表されていて、操作性はより使いやすくなっていましたが、画面構成やアイコンなどがTFASとは異なるものとして製作されていました。
正直、初期のうちはお試し版的な形で出されていたため、機能も不足していて施工図作成として使うにはかなり厳しい印象を持っていました。
そこから徐々に機能がアップデートされていく中で、多くのTFASユーザーがLinXに移行しても使いやすい環境を目指すために、V6では画面構成をTFASに近づけ、機能もTFASをほぼ移植された段階まで来ているそうです。
その上で、もちろんLinXにしか使えない便利機能も多く、完全3D-CADとして2Dと3Dのリンクや系統管理機能なども優れています。
今回の発表で残念ながらV7のリリースについては未定とのことでしたが、9月末にはLinX V6の無料ビューアがリリースされています。
TFASにも無料ビューアがあり、3D確認や印刷などは実施できるのですが、このLinX版ビューアは無料なのに機能がかなり充実していて、TFASやJWWデータなども開け、3Dモデルを見れるだけでなく、系統拾い機能や3D上での簡単な採寸機能、干渉検査に印刷対応なども無料で使用することができます。
TFASを中心に作図管理が行われている現場だとしても、普段作図はしないけどチェック管理や出力などを行いたい管理職の方がこのLinXビューアを入れることで、コストがかからずに様々な活用ができます。
現在時点でTFASビューアを活用している方は、是非この機会にLinXビューアを試してみることをオススメします。
4.株式会社NYKシステムズ・三機工業社との連携と2026年最新機能紹介


続いて同じく設備3D-CADで大きなシェアを取っている「Rebro」の会社・NYKシステムズが、こちらも大手サブコン会社である三機工業社と2024年12月から共同開発契約を締結し注目を集めていました。
そしてその取り組みの内容を今回テクニカルフォーラムにて発表されていましたので簡単にご紹介します。
もともと設備3D-CADとしてCAPEというソフトから徐々に業界シェアを拡大し、多くの企業・現場で使用されつ付けているTFASに対し、後発として3D-CADソフトとしてRebroがリリースされました。
Rebroはいち早くBIMへの取り組みを始めたことで、飛ぶ鳥を落とす勢いでそのシェア率を上げていき、大手ゼネコン・サブコン会社では途中からRebroを中心に扱う方向へ更新転換する企業が増えてきており、図面関係者の中でもここ数年常に注目を集めてきていました。
そして今回発表された中でもひときわ注目を集めているのが、機器の2Dモデルから3Dモデルを自動作成するツール「TRANDIM」です。
BIMの特徴として、機器データを立体的に3Dモデル作成する必要があるのですが、1つの機器を3Dモデル化するのに簡易的なものでも2~3時間、複雑なものでは5時間くらい作図に工数を要します。
これをTRANDIMにより自動化作図にて大幅に作業工数の削減に成功できるとのことで、出力モデルの多少の修正対応は必要なものの、全体工数の約90%の削減が可能とのことでした。
現場規模によってはひたすら3Dモデルを作成するオペ担当者が必要だと聞いたこともありますが、これが自動化することで大幅な作業効率化が実現可能になります。
TRANDIMで作成した3DモデルをRebroと連携し取り込めるように開発を進めているとのことで、2026年度中には正式に製品化し一般販売を予定しているとのことでした。
これは・・・楽しみで仕方がありません。とにかく使ってみたい(笑)
また、三機工業社と共同開発を進めていることで、現在は機械排煙設備の自動計算・作図の機能を作成しており、今後も合理化を進めてレブロ機能向上を行っていくとのことです。
Rebro自体の注目がさらに集まる中で、すでに高いシェアを誇るTFASとその次世代機のLinX、またオートデスク社が開発したBIMソフト・Revitは建築関係を中心にBIMソフトとして徐々に普及が広まりつつあります。
さて、将来的にどうなるかの考察は別の機会に、続いて大手サブコン会社のBIMへの取り組みについてご紹介します。
5.大手サブコン会社 高砂熱学工業株式会社のBIMへの取り組み


今回セミナー登壇されていたのが、機械設備のサブコン会社としては最大手となる高砂熱学工業。
設備BIM研究連絡会の1社としても所属している超大手企業の現在のBIM取り組み事情を発表していましたので、簡単に内容を紹介します。
※見聞きした情報を整理していますが、解釈などが一部異なる場合があるかもしれません
正しい情報かどうかは各自のご判断のもと、お読みいただければと思います
まず、社内でBIMの取り組みを続けている中で、今年2025年にBIM支援センターを社内で設立し、2030年に向けてのBIM導入プロセスを発表されていました。
個人的には支援センター発足がまだ今年の段階ということに正直驚きました。勝手ながら、最大手会社はすでにBIMが半分以上普及していて、すでに仕組化がほぼ完了しているくらいの取り組みがされているのだと無知の中で想像してしまっていました。
もちろん似た取り組みは長年続けられていたのだと思いますが、現在のBIMソフトの普及率の課題なども挙げられていたため、まだまだ超大手サブコン会社でもBIMへの取り組みは途中段階のようです。
それでも、5年先の2030年にBIMが当たり前になる未来を業界を先導して取り組む姿勢と考え方には感服するばかりです。
多くの課題がある中でも、聞いていて一番の課題は「現場」との意識の乖離だと思いました。
私も10年現場にいた人間なので、そのまま施工管理を続けていた状態であれば、BIMへの関心は今以上には全くなかったと確信をもって言えます。
現場にとって大きなメリットがあったとしても、新しいソフトを導入し普及させるハードルは会社が思う以上に難しいものです。
特に使用ソフトの切り替えとなれば尚更。
となれば、社内にバックアップ部署を作り、徹底したフォロー体制を作り現場にとっての負担を極力ゼロに近づける他ありません。
そのための取り組みとして、作図者以外にも現場管理者への教育やフォロー体制もプロセスの一環の中に上げていました。
最大手企業の取り組み成功が実現すれば、いずれ中堅規模の企業や現場にも仕組みや考え方が下りてくるのだと思います。
そういった意味でも、最大手会社の取り組みをこういったセミナーで聞くことで、自分自身や自社の取り組みに反映することができ、かなり勉強になる非常にいい機会だと思っています。
6.建物維持管理から見たBIMの活用

最後に、設計や施工とは少し違った視点でのBIMへの取り組みとして、広島工業大学所属の建築保全業務ロボット研究センターの所長も務める、杉田 洋教授が『「維持管理」が未来をデザインする」という題目でセミナーを行っていました。
改めて、BIMとは設計の計画段階から施工を通じ、建物の維持管理までを3Dモデルに情報を入れて管理する考え方になります。
私自身は施工畑のことしか基本的な知識はありませんが、建物ひとつを取って全体のコストを考えると、全体の約3/4が維持管理にかかるコスト、とのことで、日々の日常点検や清掃業務から、機械設備や消防などの月次・年次点検など、建物を維持管理するためには相当のコストがかかります。
従来は現場竣工時に竣工図書というものを作成するのですが、そこに竣工図面や機器の仕様図、また場合によってはメンテナンス管理のための資料を作成し建物所有者に引き継ぎしていきます。
しかし、基本的に渡されるデータは二次元のものがほとんどで、日々の維持管理のために受領した資料から点検項目などを整理し、維持管理台帳を作成し独自に管理していきます。
引き渡しした時点から維持管理業務はスタートしているため、早い段階で必要データを共有し、また維持管理に必要な情報のみをピックアップして提供していくのが理想ではありますが、正直施工者の立場にいた私の感覚では、維持管理に必要なコストや管理業務は表面的なイメージが限界なため、施工者側でデータを整理するのは不可能に近いと感じてしまいます。
そこでBIMデータの活用を軸に、設備機器のデータに機器のメーカーや型式情報・仕様図情報を入れていくことで、データ上で完成図書の情報を引っ張り出すことが可能になります。
そして機器毎に維持管理に必要な情報台帳を作成し、引っ張り出した機器情報から日常の点検業務から定期点検業務を自動出力できるようにすれば、竣工と同時に維持管理台帳が完成できる。
そんな未来のためにBIMの取り組みと、施工段階から維持管理の知見を取り入れていく必要があると話をされていました。(すみませんかなりざっくばらんな内容になっていると思います)
個人的には、設計と施工を連携させるために必要なのが図面・CAD・BIMだと考えていましたが、そこに維持管理を入れる視点がそもそもなかったため、かなり考えさせられる内容でした。
根本的には日本人の労働人材不足の加速により、建物の維持管理にも効率化の考え方が必須だというところにあります。
それは設計・施工にも同じことが言えるでしょう。
BIMとは設計段階から維持管理まですべてを通して考えていかなければ実現はできない、だからこそ時間がかかり難しい取り組みです。
それが実現できうるのがBIMソフトであり、それを作成していくBIMを扱える人材がこの先さらに必要になってくるのでしょう。
8.さいごに
今回は少し変わった「イベントの紹介」という内容でまとめました。
動画で話している内容とも違いかなり細かく書き連ねましたが、いかがでしたでしょうか。
私は施工管理を10年続け、その後図面屋として独立し5年が経過しました。
15年もたてば、今までの知識と経験である程度の仕事ができてしまいます。
しかし、新しいの情報を吸収するたび「実はこんな便利な機能があったのか」「聞いてたけどこんな便利なソフトなのか」と常に勉強になることばかりです。
私自身は15年TFASを使ってきて、つい先日からRebroの取り組みを始めたところです。
動画製作では設備講座や今後始める資格講座のためにも日々勉強し、独立後も多くの現場の図面に携わることでまだまだ知らないことだらけだと日々痛感させられます。
しかし、日々の仕事をこなしていく中で新たに情報を仕入れていくのは非常に難しいものです。
なので、こういった一度に多くの情報を吸収できるArchi Futureやその他の建設関連のイベントに足を運ぶことで、刺激を受け新たな発見につなげることができるいいきっかけになると思います。
是非、この機会にご興味を持っていただければ幸いです。
私はただただこのイベントが好きで現役時代から通い続けているだけの立場なので、詳細は関連サイトよりご確認いただければと思います。
9.お知らせ
2025年12月13日(土)に東京の大森にて「設備図面交流会」を行います。

前回同様、建築設備のCADや図面に関わる方向けの交流会となります。
図面屋さんに限らず、施工管理者や設計者・オペレーターさんなど、CADに関わる方であれば幅広くご参加いただければ幸いです。
今回は2部制として前半に技術交流会を行います。こちらも聞いてるだけや質問だけでも全然OKです。
参加をご希望される方は、HPの問合せからご連絡いただくか、または下記フォームから参加申請を登録いただければと思います。
★交流会参加申し込み専用フォーム★
https://forms.gle/woaTfowmp8L6Yq33A
技術交流会はオンラインでの参加も募集しています。
基本的に初めて参加される方や初対面の方がほとんどなので、お気軽に申し込みください。
前回もベテランさんの他にもオペレーターの方や設計関係者さんなど幅広くご参加いただいています。
もし交流会など不安がある方は主宰の松葉までお気軽に相談ください。私も実は苦手なので全力でサポートします。
設備勉強会の動画を毎週水曜日にYouTubeにて更新しています。
こんな内容のものを上げて欲しいなどご意見や感想もHPやYouTubeにコメントお寄せいただければ幸いです。
次回動画は「設備講座#11 消火設備①」を2025年11月26日(水)更新予定ですので、ご興味ある方は過去動画と合わせて是非ご視聴ください!
⇂⇂⇂YouTubeチャンネル「建築設備の図面屋さん」はこちら⇂⇂⇂
https://www.youtube.com/channel/UCQppktUn44lnEoW3DlrE7qg

このチャンネルでは、建築設備の勉強会、設備CADの操作知識、資格試験の解説に関する動画などを公開していく予定です。
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