YouTubeチャンネルにて『勉強会動画①』をアップロードしました。
今回は「空調配管」の冷媒配管に関する基本的な設備知識が中心となります。
動画内で説明している内容の補足をスライド毎に簡易的に解説します。
内容は業界経験2年~5年生あたりが対象となります。
空調配管 冷媒配管
1.冷媒配管 基本編

空調機と冷媒の仕組みは少し難しい言葉が出てくるため理解しにくいですが、
中で液体がぐるぐる回っているのだと理解する程度で十分です。
重要なのは、エアコンは風の温度を上下させますが、風そのものを入れ替えるわけではありません。
家でルームエアコンをずっとつけていると部屋の空気がよどみます。
新鮮な空気を取り入れる場合は窓を開けて換気することが必要になります。

銅管は曲げやすい材質ですが、それでも曲げすぎると割れてしまうので、曲がり角度には制限があります。
冷媒配管はかなり自由に作図ができるイメージですが、実際の施工が厳しくなることもあるため曲げ範囲には要注意です。

空調配管は他の配管と異なり小数点のサイズで表現されます。
なぜこんなに細かい数字となるかは動画内では解説していませんが、建築の配管材や全ねじなどは一般的に単位は「インチ」サイズを使用していることに起因します。
1インチ=25.4mmが正しい値で、インチサイズを8分割して3/8=9.525mm、4/8=1/2=12.7mm、6/8=3/4=19.05mmとなります。
1/8を一分(イチブ)、2/8を二分(ニブ)、3/8を三分(サンブ)といった呼び方をし、吊り支持用の全ねじ材は一般的に3分のサイズを使用しています。
一般配管はこれをある程度キリのいい数字にしているだけで、
四分=13A、五分=16A、六分=20A、1インチ=25A、1.5インチ=32A、2インチ=50A、4インチ=100A
といった感じでインチサイズを基準に管サイズが決められています。
冷媒配管は小数点1位までのサイズで細かく表現されているため、他の配管と比較しわかりづらくなりますが、1インチ25.4=25Aと1/8単位と覚えておくとわかりやすいかもしれません。

保温厚は現場によって10t/10tの場合や20t/20tの場合もあります。
特記使用に合わせて作図前に作図規則の設定を行いましょう。

分岐管はCAD上で無理やり作図することもできますが、基本的には既製品を使用することになるため、
施工図上では継手付近の曲がりには余裕を持たせておきましょう。
また壁内やスリーブ内に分岐を作図してしまうと施工が非常に困難になります。
特に溶接作業を伴う場合は物理的に施工ができなくなるため要注意です。



冷暖フリーを採用する場合、配管が2管と3管で分かれます。
特に3管は保温厚を入れるとかなり太くなるため、スリーブサイズの選定時によく注意しましょう。
ルームエアコンのスリーブなら100φでも通りますが、3管式だと150~200φくらいは最低でも必要になってきます。
特に床スリーブの場合、区画貫通の耐火キャップの離隔なども影響して配管ピッチが広くなるため、
PSの納まりは外形をしっかり考慮しながら検討することが大切です。
2.冷媒配管 作図編

配管サイズの選定を自分で行う場合は、メーカーのカタログを確認しましょう。
室内機の能力を足しながら配管サイズを算出することができます。
ただし、後半にも出てきますが配管の長さによってもサイズの選定条件が変わってきます。
時間に余裕がある場合は、メーカーや代理店に設計図からの変更内容を共有しスケルトン図を作成してもらうのがおすすめです。

火なし工法は安全面からも注目度が高いですが、実際に職人さんに聞いたところ、中規模の新築現場はまだロウ付け施工が大半と言っていました。
一番の理由はコスト面です。
物価高も影響し、極力コストを抑えるとなると従来の溶接工法が採用されやすいようです。
また改修工事は火気の管理が新築工事以上に重要視されるため、管理コストと総合的に比較して火なし工法が採用される現場も増えているようです。
ただ、やはりロウ付けよりもカシメの方が施工ミスは起こりやすく、配管の漏れなど品質管理の面からも全面火なしに切り替わるのは難しいのかもしれません。



屋上の施工図を作図する際に、ラッキングか冷媒ラックかによって納まりがだいぶ変わってきます。
基本的には設計図で明記されていますが、配管系統が多い場合はラックを採用した方が
納まりやメンテナンス、施工性が向上することが多いです。
特に冷媒ラックは電気ラックとの取り合いなども生じてくるため、採用の現場は早めに電気図面と調整し協議することが大切です。


施工図が確定するまでメーター数や配管の接続順序が決まらないので、スケルトン図の作成を後回しにする管理者も多い印象です。
しかし、設計図の配管サイズがすべて正しいとも限らないため、まずは粗検討図の段階でスケルトン図の作成を依頼することをおすすめします。
一度施工図に反映し、また変更が生じた箇所だけ情報を共有しスケルトン図を直してもらう。
修正頻度は少ない方がよいですが、1回目の作成が一番時間がかかるため、早めに初回作成を依頼するようにしましょう。

冷媒の落下防止は設計図上で設置箇所が明確になっていることが少ないです。
中間階でもどのフロアにどの程度の間隔で設置するのか。
それほど納まりに大きな影響は出ませんが、それでも最初に施工図に反映しておかないと、施工後にやり直しはかなり大変です。
まずは落下防止が必要であることを知識として覚えておくことが大切です。

耐火キャップは配管サイズにより外径が変わってきます。
納まりが厳しいPSでは竪管ピッチの芯々を短く作図してしまいますが、
最小サイズはスリーブの離隔ではなく耐火キャップの外径だということを意識しましょう。
メーカーによっても外径はことなりますが、だいたい150~200、少し管サイズが大きくなると200を若干超えてきます。
系統が多くて配管ピッチを150で並べて作図してしまうと、実際には納まらない、といったことも発生します。
耐火ボックスの場合も、やみくもに配管を詰めて施工できるわけではなく、ボックスの中の配管離隔が決められています。
高層の建物は特に冷媒が密集するため、区画材をどのように計画するか最初に確認しておくことが大切です。

気温が年々高くなっていることで、既存の建物でも今まで生じなかった箇所で冷媒配管の結露が起こりトラブルにつながることを耳にします。
そのため、新築現場では最初に温度変化が影響出やすい箇所は保温厚を上げて対策することが重要になります。
施工経験からの判断がメインになるため一概にルールを決めるのは難しいですが、
天井内の納まりがかなり厳しい現場においては、保温サイズが変わる可能性がないかを確認し早めに検討することが大切です。
動画の内容とはまた違った側面で記事を書いていますので、動画と合わせてご確認いただければと思います。
次回は「空調配管 ドレン編」になります。
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