設備施工図作図時の注意ポイント その② 換気編

設備施工図作成時に現場を知らないと見落としてしまいトラブル要因になる注意ポイントをご紹介します。

紹介する内容はあくまで全体の中のほんの一部分ですが、ベテランでも見落としてしまいがちな大事な内容です。

今回は換気施工図に関わる3つの内容をピックアップしてご紹介します。

特に未経験・若手の方は参考にして作図するとより良い施工図が描けるようになると思いますのでご活用ください。

 

その1 外壁貫通するダクトは振り上げる

換気ダクトの給気元・排気先の仕上げとして「ベントキャップ」「ウェザーカバー」「ガラリ接続」などがあります。

基本的に外壁に開放されるため、雨水などが侵入する可能性がある場所についてはダクトの施工方法に注意が必要になります。

絶対条件ではありませんが、ベントキャップで外壁貫通するダクト外壁付近で一度貫通レベルよりも高く振り上げることが理想的です。

ベントキャップは構造的に上から水が入らない仕様になっており、また外壁貫通部分は止水処理を施すため通常の雨が侵入する可能性はかなり低いです。

しかし近年の大型台風などでベントキャップからの雨水侵入による漏水の事例が多くあります。

特に外気系統は空気を吸い込むダクトのため、雨水侵入が起こりやすいです。

万が一雨水が入ったとしても、外壁に向かって下がり勾配になっていれば水はダクト内にたまらず排水されやすくなります。

『外壁ダクトは一振り上げる』が絶対条件になっているゼネコン・サブコンも多いですが、

図面作図時に気を使っていないと以外と見落としてしまうポイントになります。

ルールが決まっていない場合でも対策して損はありません。

納まりが厳しく振り上げが不可の場合はシールなどで止水対策も考えられるため、図面上にコメントを入れておくといいでしょう。

 

その2 ガラリチャンバーへの接続ダクトは偏りに注意

その1と同じく、外壁貫通するダクトで建築ガラリにチャンバー接続するパターンがあります。

ガラリチャンバーは施工図レべルでは真四角で作図することが多いですが、

実際に施工する場合はチャンバーの下部または接続部のネックダクトに勾配を付け、侵入した雨水が外に自然排水される対策を施すため、

接続するダクトを更に振り上げる必要性は少ないです。(現場により考え方が異なるため要注意)

ガラリに接続するダクトの注意点として、接続ダクトの位置がポイントになります。

ガラリのサイズは接続されるダクトの系統の総風量により決定します。

一般的な面風速が決められており、ガラリの開口率と面風速からガラリサイズを決定します。

1つ目のポイントとして、施工図の納まりで接続先のガラリを大きく変更してしまうと、

必要風量が大きくなってしまい面風速がオーバーしてしまう可能性があるため注意が必要です。

面風速が許容を超えると風切り音や雨水侵入の原因になります。

変更が必要な場合はガラリサイズから許容風量を計算して確認する必要があります。

2つ目のポイントとして、ガラリの接続ダクトの位置、偏りに注意しましょう。

風量に合わせガラリ・チャンバーのサイズはそれぞれ大きくなりますが、大風量のダクトを端っこに接続してしまうと

風速に偏りが生じてしまい、部分的に面風速が速くなり騒音・振動や雨水侵入などに影響を生じる可能性があります。

特に機械室で大容量のFANのダクトを接続する場合は納まり含め気を使って検討しましょう。

できればチャンバー内で風量が均等になるように、接続位置を極力チャンバー中心に寄せ、接続部にホッパーを使うなどすると理想的です。

 

その3 片吸い込みシロッコファンの接続ダクトに注意

風量が大きいFANには片吸い込みシロッコファンが選定されることが多いです。

片吸い込みシロッコファンはその形状から吸い込み・吹き出し部分を「カタツムリ」と呼ばれます。

吸い込み方向を「右回転」「左回転」から選択ができ、またカタツムリの向きも「上部水平」「下部水平」「上部垂直」から選択できるため、

設計図の形状にこだわらず6タイプから選定することが可能です。

図面納まりをもとに機器の向きを選定するのが一般的な流れになります。

そこで気を付けなければならないのがFAN二次側のダクト方向です。

 

カタツムリはその形状から分かるように、FAN二次側の風は回転の力が加わり排出されます。

機器吐出側は風速が速いため、そのため回転方向と真逆にダクトを展開してしまうと、

風は一度ダクト内で正面衝突してしまい抵抗・騒音・振動増加の原因となる可能性があります。

そのため機器から吐出される風の流れ方向に逆らわないようにカタツムリの向きを選定することが大切になります。

ただ機械室や屋上はメンテナンスを考慮することが大切ですので、通行スペースなどを考慮した納まり検討が必要になります。

どうしても納まり上機器の向きに逆らってダクト展開が必要な場合は、吐出側のダクト内部にガイドベーンなどを設置することで対策も可能です。

片吸い込みファン廻りのダクト図を作図する際は、検討している機器の向きをわかるように表現し、ダクト方向に無理が生じる場合は

「FANの向きとダクトが逆に展開するためガイドベーン設置要検討」などのコメントを残すとよいでしょう。

 

  

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