TFAS初心者講座⑪「外構図配管と桝の作図と接続」
設備CAD・TFAS初心者向け講座 第11弾。
今回は施工図の中でも初心者にはハードルの高い「外構配管図の桝と配管の作図」について紹介したいと思います。
外構配管は天井配管図と異なり、分岐や曲がりに桝の作図が必要なため、通常のルーティング方法ではうまく接続できず
レベルの修正や勾配表記に苦労される方も多いのではないでしょうか。
今回は基本的な塩ビ小口径桝を利用した外構配管の作図手順をご紹介します。
目次
外構配管の作図手順を整理しましょう
外構配管図を作成する際、まずは作図手順を整理することが大切です。
外構配管は建物のピットから出てくる配管を受けて、下流に向けて下がり勾配で配管が接続されていきます。
基本的な作図手順は以下となります。
①ピット・地中梁スリーブを調整し、建物から出てくる配管位置を決定する
②桝を仮配置する
③起点となる下流の桝から順番に桝同士を配管で接続する
④建物から出てくる配管と桝を配管で接続する
よくあるのが、⑤から順番に作図を進め、桝同士の接続がうまくいかず失敗するパターンです。
建物内の排水管を作図する際も、基本的には下流末端になる立管から順に作図を進めるのがセオリーです。
外構配管の場合、枝部分に当たるピット配管から作図するため上流から順に進めたくなりますが、
外構のメイン管を作図 → 建物からの配管を接続
この手順に沿って作図を進めるとうまくいくので是非実践してみてください。
外構配管図の作図手順
では先ほどの作図手順に沿って解説していきます。
①ピット・地中梁スリーブを調整し、建物から出てくる配管位置を決定する
建物から出てくる配管は基本的に地中梁スリーブ位置にて決定します。
そして建物からの配管位置がそのまま桝の位置になります。
スリーブには設置条件があるため、基本手順はピット→外構の順になりますが、同時進行や外構の粗検討を進めることもあるため、
ピット図が決まっていない場合は設計図をベースに進めましょう。
②桝を仮配置する
一番大事なポイントとして、外構配管は『桝』を先に配置すると作図がスムーズに進みます。
桝と配管を作図する際に一番ネックになるのが「桝の接続には上流と下流で段差がある」ことです。
流れ方向に向かって高さが異なるため、配管レベルと桝レベルを合わせて接続することが非常に困難です。
接続が正確にできていない場合、勾配付加や変更、ルート移動することができません。
配管と桝を接続するには、作図手順として「桝→配管」の順に作図するとうまくいきます。
まずは桝を仮配置します。
「機器・器具配置」→「Tfas標準①」→「ます」を選択し、該当する桝形状をプロットしてきます。

この時に注意点として、「桝には流れ方向がある」ことを理解し向きを正確に配置することが大切になります。
桝を配置する際に「ミラー反転」があるので、通常と逆向きの場合はこちらにチェックを入れてプロットします。

プロットの際にはレベルは気にせずFL+0のまま一度配置してきます。

外構桝は配管の合流・曲がりにすべて配置し、さらに配管直線部にも管径の120倍に一つストレート桝を配置する必要があります。
150Aの場合、150mmx120=18,000mm=18m以内にプロットする必要があるため注意しましょう。
③起点となる下流の桝から順番に桝同士を配管で接続する
桝のプロットが完了したら、次に外構配管全体をルーティングで接続していきます。
ルーティングを行う際に、まずは「作図規則→ルーティング」を開き、「レベル→ルーティングのレベルを優先する」に変更します。

天井配管図を作成する際は、機器の位置や高さを決めてプロットし配管を接続していくため、通常は機器レベル優先になっています。
ルーティングのレベルを優先に変更を行うことで、配管のレベルに合わせて自動的に桝高さが接続レベルに変更されるため、
桝の段差も含め全体の接続が可能になります。
配管を作図する際に勾配を設定して作図していきます。



外構配管の勾配は、屋内配管の一般的な勾配条件とは基本的に異なるため注意しましょう。
地域や建物用途、私設内か公共道路上か、設計の考え方など、現場毎に外構配管勾配の考え方が変わるため注意が必要です。
配管サイズに関係なく1/100勾配で統一されている場合や、排水人口と管径にて決定する場合などがあります。
排水人口 | 管径 | 勾配 | TFAS設定の参考値 |
150人未満 | 100mm以上 | 2/100以上 | 1/50 |
150人以上 300人未満 | 125mm以上 | 1.7/100以上 | 1/55 |
300人以上 500人未満 | 150mm以上 | 1.5/100以上 | 1/65 |
500人以上 | 200mm以上 | 1.2/100以上 | 1/80 |
外構配管の勾配は建物内よりも条件が厳しくなるため、まずは現場毎に最初に方針を整理しておくことが大切です。
TFAS上では勾配設定は1/5単位で設定可能なため、上記数値を参考にしてみてください。
④建物から出てくる配管と桝を配管で接続する
建物からの配管と桝を接続していきます。
配管をそのまま桝に接続することで、高さの差を継手で自動作図することが可能です。

一般的に桝の接続レベルと建物配管のレベルを合わせることは検討上も施工上も非常に困難なため、
極力建物側から高い位置で外に出し、継手を設けて桝との高さを調整するのがセオリーになります。
ただし外構配管のレベルは末端の桝への接続可能レベルにて決定するため、
現場の条件によっては厳しい納まりを強いられる場合やレベルが調整しきれないトラブルも生じてしまうものです。
地中梁スリーブの検討と同時に外構配管のメインレベルを検討し、合わせて全体的に納まるか検討することが大切です。
修正時のポイントや注意点
勾配を残したまま桝と配管を一括でルート移動が可能になる
外構配管図を上記方法で桝と配管を接続し作図をすることで、全体のルート移動が可能になります。
ルート移動をする際、機器器具を「追従する」に設定しましょう。

レベル表記を行う場合
外構配管図のレベル表記は、一般的にGL表記で行います。
GL表記は「作図設定→傍記→詳細設定」から「レベル基準の表示」のGLを選択すると変更可能です。

シートの階高設定を利用した表記方法も便利です。詳細は下記記事より参照ください。
桝を直接選択すると、桝の底レベルが表記されます。
配管レベルを作図する場合、 外構配管は基本的に管底レベルで施工するため「作図規則→傍記→詳細設定→配管→下端」を選択します。

配管は直管で1か所しか表記されないため、両端に表記したい場合はCtrlを押しながらクリックすると複数の傍記作図が可能です。
勾配表記、レベル表記をすることで、外構のレベル検討・確認がスムーズに実施できます。

桝番号を作図したい場合
桝番号は「文字連番」機能を利用しましょう。
「文字連番」については下記記事を参照ください。
勾配の変更修正に注意
勾配やレベル変更が生じた場合、一度作図した配管を一括で修正変更することが非常に困難です。
「勾配一括付加」「勾配一括戻し」の機能を使う場合、分岐桝の分岐配管を接続すると設定ができなくなってしまうため、
修正する場合は分岐配管をすべて切り離ししてから実行しましょう。

末端が曲がり桝の場合、短管が無いと勾配一括変更ができないため要注意です。
外構の全体配管レベルが未決定または検討段階では、分岐配管の接続は保留にして作図すると検討がスムーズに進みます。
外構勾配がサイズによって異なる場合、一括修正が困難です。
作図手順を考えながら、まずはメインレベルと建物全体の納まりを決めて、できる限りまとめて作図するようにしましょう。

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