設備CAD・TFASを使った作業効率がUPする機能や方法を紹介しています。
図面を施主・監理者に提出するとき、”施工図の文字を全体的にもっと大きくしてくれ”なんて指示されたことないですか?
CADなら文字サイズの変更なんて簡単作業ですが、機能をよく知らないと文字が重なってしまったりずれてしまったりして、一個ずつ修正・・・なんて手間が発生してしまいます。
今回はサイズやレベルなどの『傍記』に関する機能紹介をしたいと思います。
目次
TFAS・傍記の文字を一括変更する方法
文字サイズを一括変更したい場合、通常の『文字編集』や『文字属性変更』を行うと大変なことになりかねないので注意が必要です。
例えば文字サイズを一式大きくしたい場合、『文字属性変更』で一括変更してしまうと・・・
このように文字位置が最初の設定のままサイズだけ変更されてしまうため、バランスが崩れ文字が重なってしまいます。
また、傍記以外の文字も選択してしまうので、情報が多い図面では作業が困難になります。
傍記の文字サイズを変更したい場合は傍記専用の文字変更機能を使用しましょう。
『空調or衛生』→『サイズ・レベル表示』→『文字属性一括変更』で傍記の文字だけを選択しサイズや属性変更を行うことができます。
そうすると、文字位置のバランスを崩すことなくサイズ変更が可能です。
文字サイズは印刷する縮尺によって変える必要があります。最初に図面縮尺に対しての文字サイズを決めておく必要があります。
参考までに縮尺や文字サイズの例を載せておきます。あくまで参考までに。
縮尺 | 文字サイズ | 配管50A以下 | |
外構図 | 1/100 | 5.0 x 4.5 | 単線 |
一般平面・断面 | 1/50 | 3.0 x 2.5 | 単線(又は複線) |
機械室・PS等詳細図 | 1/30 (又は1/20) | 2.0 x 1.5 | 複線 |
水廻り詳細図 | 1/20 (又は1/10) | 1.5 x 1.0 | 複線 |
ただ、もっとも重要なのは『誰に見せるものか』です。若い設計監理者なのか、年配の職人さんなのか、実際に図面を見る人が見やすいよう最初にルールを決めて共有することが大切です。
レベル表記を一括で『見下げ表記』に変更したい場合
衛生配管図は”見下げ”で作図するのが基本です。
ただ、CADで作図すると空調も衛生も同一レベルで作図するため、何も設定しないと”見上げ”でレベル表記されてしまいます。
施工するときは問題なかったりしますが、監理者によっては「衛生図面なんだから”見下げ表記”に変えてよね!」なんて言われることもあります。実際私が経験したことですが。
そんな時は『シートの階高設定』で解決することができます。
本来、最初から階高を設定して作図している人は何ら苦労はないと思いますが、今回は作図途中で見下げに変更するときの手順を簡単に紹介します。
仮に、階高4500のフロアで衛生を見上げで作図してしまった場合を想定しましょう。
まず、衛生配管のシートの階高を設定します。『シートプロパティ(シート右クリック)』→『階情報』→「新しい階を設定」します。
この時、例えば1階の見上げ施工図であれば、衛生配管は2階の見下げとなるため、階名は2FLとなります。
そして、基準階高は”この図面のフロアからの階高”を記載しましょう。今回の場合は4500となります。
”傍記用階名”は傍記をすでに作図してしまっている場合は「FL」と設定しておきましょう。
2FLとした方がわかりやすい場合は設定した方がいいですが、先に傍記を記入している場合、後から設定しても自動修正されないため混在してしまいます。
本来、複数のフロアを設定する場合はGLや1FLを基準として各フロアの階高を設定しますが、まぁそれがわかっていればすでに設定していると思うので。できることからやって慣れていきましょう。
設定すると、断面を切った際に下記図のように衛生配管が2FLを基準に高さが変更されます。
あとは、衛生配管を全選択し断面表示し、断面図上ですべて選択して階高分下に移動してください。
当然レベル変更でも対応できますが、この方が高さが合っているか確認もできるので初めてやる方にはオススメです。
3D上では同じレベルに作図されていますが、衛生配管のみマイナス表記にすることができます。
本来は最初にルールを決めるのが理想ですが、やむを得ず変更を余儀なくされた場合は焦らず対応してみましょう。
TFASの『傍記』に関連する機能紹介
傍記に関する機能紹介です。
基本的な機能ばかりですが、よく後輩に聞かれる内容を集めてみました。
①勾配に△マークを付けたい!
勾配を作図する際、下図のように△マークを付けたい場合は、『作図設定』→「傍記」→「詳細設定」→「勾配に勾配記号を付ける」にチェックを入れると入力することができます。
②GL表記で表現したい!
FL表示をGLやSLに変更したい場合は、①と同じく「詳細設定」のレベル基準の表示から”CL,FL,Gl,SL”を選択することができます。
③一つの配管に傍記を複数記載したい!
配管上に2カ所以上にサイズやレベルなどの傍記表示をしたい場合は、Ctrlキーを押しながら傍記作図を行うと複数作図することができます。
▲注意事項▲
傍記は絶対に複写で増やさないでください!
複写で書かれた傍記は配管ダクトデータとのリンクが切れてしまうため、配管のサイズやレベル変更を行った場合に情報が追従しなくなってしまいます。
よく複写した古いデータが残ってしまい、現場での施工ミスにつながることがあるため注意しましょう。
複写で作図している傍記を確認したい場合いろいろ方法はありますが、最初の項目で紹介した『文字属性一括変更』で選択すると、選択されない文字は傍記として機能していない文字と判断が可能です。
冷媒サイズを記号表記したい!
最新TFASでは冷媒配管専用の記号設定を登録することができます。
『空調モード』で『作図設定』→『傍記』→「冷媒管傍記」にてサイズ一覧をオリジナルで登録することができます。
最初に設計図の記号設定などを反映しておきましょう。
UP・DN表記したい!
UP・DN表記をしたい!と考えている時点でもう機能をしっているかと思いますが。
配管やダクトの上がり下がりの箇所に「UP・DN」で上がり下がりの高さを表記することができます。
『サイズ・レベル表示』→『UP・DN』で作図することができます。
これは図面を描く人のセンスやこだわり、職人さんによっても大きくことなりますが、意外とこの「UP・DNの数字が書いてあるとわかりやすい!」と職人さんからの評判はいいです。
特に細いサイズの配管など、印刷すると上がり下がりがつぶれて分かりづらいことがあります。
UP・DN表記をすることで立ち上がりも明確になり、さらにいくつ高さを変えればいいのか職人さんが計算する手間も省くことができます。
慣れていないと中途半端な作図になってしまい不要な情報になりかねないので、自分なりに必要性を見極めて活用してみてください。
最後に
傍記の記入は施工図の中でもかなり重要度が高い情報です。
以前外注の図面屋さんに作図依頼したとき、傍記の半分以上が複写で作図されており修正に苦労したのを覚えています。
特に若手の設備屋さん、CAD初心者は傍記を文字修正や複写し、後の変更に追従できず古い情報が職人に渡り現場でミスが起こる、なんてことが日常茶飯事に起こってしまいます。
機能は多彩で便利なれど、現場でトラブルを回避するためにも「正しく機能を使うこと」が最も大切です。
皆さんの事務作業が少しでも効率的になれば光栄です。
『株式会社PFC』は”現場のいち担当者”として作図協力を行う設備施工図製作会社です。
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