設備CAD・TFASを使った作業効率がUPする機能や方法を紹介しています。
設備図面の要となるスリーブ図面、CADオペさんや若手設備屋さんは最初にスリーブの拾いやサイズ記入などを手伝うことも多いのではないでしょうか。
作図操作は簡単なものですが、文字入力や寸法入れ・数量拾い・番号入力など、機能を知らないと作業に多くの時間がかかってしまいます。
今回は『スリーブ』に関連する便利機能や時短に使える機能を紹介したいと思います。
目次
TFAS・スリーブ図でサイズや寸法線を一括作図する方法
スリーブ図の作図と自動配置のサイズ設定
最初に基本的なスリーブの作図について紹介します。
スリーブは個別配置や自動配置など専用の機能がありますが、基本機能の説明は省略します。
スリーブは配管用途や保温の有無などにより、管径に対してスリーブの大きさが変わってくるため、現場毎に決めている施工要領を確認する必要があります。
基本的には保温がなければ2サイズUP、保温あれば3サイズUP、勾配が必要な系統は3サイズUPなどが一般的でしょうか。
スリーブは手動配置の他、梁や壁など建築図を3Dで作図しておけば、配管と交差する場所に一括で自動作図を行うことができます。
『空調・衛生』→『その他作図』→『スリーブ』→『自動配置』
また、スリーブ作図の「設定」にてスリーブの自動作図のサイズ条件設定を行うことができます。
最初に現場の施工要領内容を登録しておけば、自動配置でサイズ条件を気にすることなく一括作図を行うことができるので便利です。
特に現場ルールが決まっていなくても、TFAS初期設定のままで施工上の支障はほぼ無いため、そのままでも良いと思います。
△注意事項とポイント△
配管やダクトの保温設定は作図規則で個別に設定したり、作図することができます。
スリーブの自動作図で読み取るのはあくまで作図されている外径のため、保温を作図していない場合は自動作図時に注意が必要です。
また、フランジを使用する場合はフランジ外形を考慮したスリーブ径にするか確認しておくとよいでしょう。
フランジよりスリーブ径が小さいと、施工するときに片フラで配管を製作する必要が出てくるため、要注意です。
スリーブの傍記や寸法線の一括作図方法
スリーブ図には、サイズやレベルの傍記情報と寸法線が必須となります。
これを一つ一つ選択して作図すると非常に時間がかかってしまいます。
TFAS上でしっかりスリーブデータで作図してあれば、傍記情報や寸法線を一括作図することができるので紹介しましょう。
まず、傍記を作図する際にはスリーブのみをすべて選択し『サイズ・レベル』→『一括配置』を行ってください。
スリーブの中心に作図すると見にくいので、表示位置を『上側』にするといいと思います。
スリーブから少し離れているのが気になる場合は、面倒ですが文字を全選択して移動させるとよいでしょう。縦横の向きには注意してください。
あとは全体的に文字の重なりなどをチェックしながら整理するだけで作図完了です。
これは梁・壁・床スリーブ問わず作図することができます。
続いて寸法線の一括作図には『寸法線』→『図形間』を使用しましょう。
残念ながら床スリーブだけは対応していないのですが、梁・壁スリーブであれば一括作図することができます。
通り芯とスリーブのみを選択できるようにし、作図したい通りの図形を選択します。
このように一括で寸法線を作図することが可能です。
配管やダクト図の寸法線は、施工しやすく見やすい寸法線を意識するため自動作図の活用はうまくいかないことも多いですが、スリーブは通りで一括で追えればいいのでこの方法が最適です。
図形間寸法はインサート図でも活用できるので是非試してみてください。
TFAS・スリーブ番号を簡単に記入する便利な方法
スリーブを現場で管理する際にスリーブ番号を入力する場合があると思います。
これを入れるだけで、スリーブの発注から施工の管理まで非常にスムーズで間違いを減らせるので、データ上で作図するのが理想的です。
番号を一つ一つ手入力すると作図時間に時間を取られてしまうため、スリーブ番号の作図は『電気』→『回路番号作図』を行いましょう。
設備屋さんには馴染みのない機能ですが、これが番号作図に非常に便利な機能で、入力した番号をクリックで配置すると自動的に次の番号に更新され、連番をスムーズに作図することが可能です。
あとは図面上の左上から順番に配置していけばいいだけ!
番号も「101」や「102」に限らず、「1」とすれば「2」「3」「4」・・・、「A001」とすれば「A002」「A003」・・・など、自由度もかなり高いです。
私は地中梁であれば、防水必要箇所は◎にするなど使い分けたりしています。
参考までに、スリーブ番号をすべて連番にしてしまうと、記入忘れや追加の管理が面倒になります。
私はX1-X2間は101~、X2-X3間は201~など通りごとに番号のルールを決めてます。そうすると材料発注や実際に納品したスリーブに番号を記載してもらえば材料の間配りも楽にできるのでオススメです。
スリーブだけでなく、あらゆるところで使える機能なので覚えておくと便利だと思います。
スリーブ数量拾いを間違えないために重要なデータのダブルチェック
スリーブで『拾い』機能は便利だが決して過信してはいけない!
「スリーブを発注するからスリーブの数を拾っておいて!」なんて作業指示を受けることも多いのではないでしょうか。
『拾い』の機能は通常機能なので敢えて説明は省きますが、スリーブやインサートを正しく作図すれば数量をサイズ毎にすべて自動カウントしてくれます。
基本的にはこの拾い機能に間違いはないのですが、そこには色んな落とし穴があるので活用の際は注意してください。
まず、拾い機能は『空調』と『衛生』でそれぞれ作図したデータしか拾わない ということ。
スリーブ図は総合図として一枚の図面や同一シートで管理することも多いと思いますが、スリーブの自動作図を衛生配管と空調配管でそれぞれのモードで行った場合、『衛生』の拾い機能では『空調』で作図したスリーブが拾いから弾かれてしまいます。
一括で拾ったつもりが実は選択されていなく数が足りなかった、なんてミスがよく起こるので注意しましょう。
また、CAD使用者なら一度は経験していると思いますが、いつの間にかデータが二重に作図されてしまうことがあります。
どのタイミングかわかりませんが、シート間複写などでデータが二重になってしまった場合、CAD上でもなかなか気づくことができず、またデータが重なった状態で拾いをかけると当然二重にカウントしてしまうことがあります。
自動作図など便利な機能も多いですが、私の持論として人が使っている以上はデータを過信してはいけない、ということです。
記録に残せる”データで行うダブルチェック”方法
私がスリーブの拾いをする際の方法について紹介したいと思います。
現場でのスリーブチェック同様、ダブルチェックというのが非常に重要になります。
ただし、紙で印刷して手で拾ってダブルチェックではもったいない。
是非、『拾い』の『個数カウント』機能を使ってみてください。
これはデータ上でレ点を入力することができる機能です。
平面をクリックするだけでレ点を何個でも作図することができます。
チェックカウントは配置時に集計してくれる他、カウント機能を使うとチェックマークのみ選択して個数を集計してくれます。
印刷して手拾いしても同じですが、データであればとにかくチェックマークを配置すれば個数確認ができるので、『拾い実行ー選択部材』で集計した個数と『チェックマークカウント』を比較し一致すればまず拾い漏れはないと言えます。
データ入力なので、シートやレイヤで非表示で保存しておくこともできるので、日付を入れておき、図面変更があればチェックマークと合わせて印刷すれば変更箇所が一目瞭然です。
本来なら別の人にチェックしてもらうのが一番理想ですが、アナログ作業も極力デジタル上で作業することでかなりの時短になり精度も大幅に向上しますので、確認の意味も込めて是非使ってみてください。
最後に
スリーブ図はそもそも構造設計の特記事項や納まりなど、設備施工図の全般を理解していなければ正しく検討することはできません。
しかし設備の1丁目1番地はスリーブです。
作図する作業時間は極力短縮し、根本的にスリーブが正しく配置されているか、納まりは問題ないかなどを確認する時間に充てましょう。
またスリーブもCAD上で正しくデータ入力しないとカウントや寸法入れなどに対応できません。
まずは基本的な作図方法を理解し、また指導する側も正しく入力されているかチェックできるよう機能を理解することが重要です。
皆さんの事務作業が少しでも効率的になれば光栄です。
『株式会社PFC』は”現場のいち担当者”として作図協力を行う設備施工図製作会社です。
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