TFAS初心者向け講座・第9弾。今回はとても便利なのに意外と機能が知られていない「シートパターン」についてご紹介します。
基本機能の紹介なので、使い方はTFASのマニュアルでも確認できます。
今回はあまり機能を知らない人のために、どんな機能でどんな活用方法があるのかをいくつかご紹介します。
目次
「シートパターン」機能とは?
シートパターン機能とは「シートの表示・非表示設定の条件を登録しワンクリックで自動切替できる機能」です。
施工図を作成しているとついついシートが多くなってしまいます。
『シートの数は極力減らす・シート名は極力短くする』が図面管理する上で基本となる考え方ですが、
それでも建築平詳図・躯体図・換気ダクトに空調配管、衛生配管、スリーブ図データなどある程度シートは必要になります。
1つのデータに複数設備の図面を統合すると、印刷する際に
「空調施工図は衛生を灰色にしたい」
「衛生施工図は見上げ平詳を表示して空調を灰色にしたい」
などシートの表示条件が変わってきますが、これをいちいち選択し切替すると結構な時間を浪費してしまいます。
そこで「シートパターン」機能を活用することで、各設備図ごとのシート設定を切り替えることが可能になります。
「シートパターン」は、表示非表示の状態切替だけでなく、単色設定・弱表示設定も個別に登録することが可能です。
活用次第では1つのデータで「空調施工図」「衛生施工図」だけでなく「スリーブ図」「プロット図」などを一括管理することもできます。
「シートパターン」の登録方法・使い方
シートパターンは画面下のシートタブの左にある、レイアウト切替の横『P』のマークをクリックすると使用できます。
「登録」をクリックすると、現在のシート条件を登録することが可能です。
条件は複数作成することができるため、施工図の種類毎にパターンを登録し管理できます。
また登録した条件を確認・変更する際は「管理」の機能を選択すると、各登録ごとに個別に設定変更が可能です。
シートは登録した時点のもののみ設定されるため、パターン登録後にシートを増やすとそのシートだけ未設定の状態になります。
未設定のシートは現在の状態(編集や表示、単色設定など)がそのまま反映されます。
登録した条件を多少変更する場合は、パターンを切り替えた後に変更したいシートを変更したあと、
再度「登録」から登録済のシートパターンを選択することで上書き更新することも可能です。
シートが増えた際は、シートパターンを選択し増えたシートのみ設定を変更し上書きすると簡単に更新管理が可能です。
建築図が変わった場合の対処方法
よくあるトラブルとして、建築平詳図が新しく更新された際に、新規シートを作成し更新する場合があります。
建築図を新シートで作成すると、シートパターンから外れてしまい、毎回更新が必要になります。
もしシートパターンを変えたくない場合は、もともとの建築シートの中身を削除し、そこに最新データを入れ替えましょう。
シート名を「1階平詳230601」など日付で管理している場合も、シート自体を再利用する場合は
もともとのシート名称を変更してもシートパターンの設定に影響はありません。
シートの名称に連動しているわけではなく、シートそのものに連動しているためこのような管理が可能です。
ただどんなにルールを決めて管理したところで、シートは常に増やして管理したいものです。
施工図と別でコメントや検討図を別シートで管理したい場合は、分類で「非表示」グループを作成し、
通常時は常に非表示で管理することが誰でもわかる状態にすることが無難です。
そして定期的にシートパターンを更新する癖をつけるだけで、作業効率は格段に上がること間違いなしです。
「シートパターン」の活用例
シートパターンをうまく活用することで、下記のような対応が可能です。
①設備毎の承諾図を図面名称シート切替で対応
ひとつのデータで空調・衛生など複数データを管理する場合に困るのが、
「承諾図を設備毎に分けて図枠を入れて提出する必要がある」場合です。
レイアウトをうまく活用する方法もありますが、簡単なのがシートパターンを使う方法です。
図枠の図面名称のみ単独シートを作成します。提出が必要な種類ごとにそれぞれ作成しましょう。
例えば空調換気・衛生・消火で図面を分けたい場合、それぞれのシートパターンの設定で
該当する図面名称のシートのみを表示にする設定にします。
他のパターンに切り替えると名称が変わります。
複雑さがなく、だれでもシート名でわかるのでオススメの管理方法です。
②詳細図を管理する
機械室・受水槽ポンプ室など、詳細図を作成する場合に色々な方法がありますが、
全体の施工図から切り離して管理する場合、切り離した部分の整合管理をしっかり行わないと
「詳細図のみ修正して全体図と合っていない」といったトラブルがかなりの頻度で生じてしまいます。
もし1つの図面で詳細図も含めて一括管理したい場合は、詳細図専用のシートを切り分けて作成しましょう。
一例として、例えば全体の空調配管図を表示する際、機械室のシートは非表示に設定します。
ここで空調のシートに詳細図範囲を四角とバツで囲い「詳細図参照」の文字を記入しておきます。
機械室のシートパターンには通常の天井配管は非表示にしておきます。
同一データ内で作図しているため、作図編集時は両方のシートを表示状態で作業することで修正ミスを防ぐことができ、
また全体を3Dで表示する際にも整合確認することが可能です。
詳細図で1/30など拡大図や断面図を利用したい場合は、枠外に専用の図枠や断面を作図しレイアウト登録しましょう。
若干管理が手間になりますが、詳細図の調整ミスは本当に多く発生するトラブルなので、できる限り同一データで管理することが望ましいです。
プロット図・スリーブ図や職人さん用の図面も全てシートパターンで管理
究極は1つのデータで全てのデータを管理することが理想的です。
全フロアを管理・・・とまでするにはTFASではかなり困難なため、最新ソフトLinXなどの利用がおすすめとなりますが、
同一フロアでプロット図・スリーブ図まで管理できればかなり正確なデータ管理が実現可能となります。
一つの例として参考シートの設定をご紹介します。シートタブ色の設定を単色指定と同じにして分かりやすくしてみます。
まずプロット図では平詳を白、電気・空調・衛生のそれぞれのプロットデータを赤・緑・青で単色設定します。
点検口の確認のため、隠ぺい機器をシート分けして表示すればプロットに表示することも可能です。
天井機器と同色で明確に分けたい場合は、隠ぺい機器のシートを弱表示設定することで細線や点線で表示が可能です。
スリーブ図を表示する場合は、見上げ躯体図を白・平詳は薄ピンク+弱2設定で表示。スリーブは必要あれば用途毎に単色設定します。
必要に応じて配管やダクトを灰色単色設定で表示させれば、系統確認も可能です。
施工図で表示する場合は、スリーブ図は青表示、プロットは灰色で表示し、施工図とずれが無いか確認できるようにします。
他にも寸法のみシートを分けて表示切替をする、冷媒とドレンの施工の手が異なる場合にシートを分けて切替できるようにするなど、
現場の状況・条件に合わせて多用に対応することが可能になります。
ただし、複雑な設定にするほどCADにあまり精通していない担当者が使いづらくなってしまうため、
極力シートの数は画面内に全て表示できる程度にし、あまり複雑にしないことも大切です。
図面管理者が常に設定をきちんと管理できれば、初心者でも活用できるためうまく現場毎にルールを決めて使ってみましょう。
『株式会社PFC』は”現場のいち担当者”として作図協力を行う設備施工図製作会社です。
図面1枚から対応いたします。ご依頼はお問合せフォームまで。
株式会社PFCで一緒に働きませんか?
正社員、フリーランスパートナー契約を募集しています。詳しくは採用情報ページまで。