TFAS初心者向け講座・第8弾。今回は初心者に限らず結構苦手意識の多い「勾配作図と配管修正の方法」についてご紹介します。
排水配管・空調ドレン配管など、排水勾配が必要な配管は納まり検討の最重要ポイントになります。
しかし一度配管に勾配を作図してしまうと、配管ルートを修正する際に接続が離れてしまい、最終的に修正できずそのままに・・・
なんて経験されている方も多いのではないでしょうか。
まずは勾配作図の基本的な方法から、配管修正する際の各注意ポイントを順番に紹介したいと思います。


・
目次
勾配の必要な配管と標準勾配値
設備初心者の方にとって、そもそも勾配の必要な配管のイメージが沸かない方もいるかと思います。
一般的な配管は基本的に水平・垂直方法に施工をしますが、主に排水配管系統に配管勾配を設けます。
排水は重力に逆らえず地面に向かってしか流れません。
したがって、配管を途中で上げたり水平にしても排水の流れが途中で止まってしまうため、必ず下流に向けて下がり続ける勾配にしなければなりません。

勾配を設ける配管は排水配管・空調ドレン配管・雨水配管などの排水系配管が主ですが、その他にも蒸気配管・還水配管にも勾配が必要になります。
また他にも、給水配管は供給向きに対して先上り・先下り、冷媒配管は先下り、冷温水・冷却水配管は先上り、通気配管は先上りなど、
配管内のエア溜り・結露水対策などを考慮しある程度勾配が必要な配管があります。
これら先上り・先下りについてはほとんどの現場では施工時に逆勾配にならないように注意は必要ですが、
施工図上では勾配値が明確でない先上り・先下りの配管は水平で作図することがほとんどなので、作図時は気にしないでも問題ないと思います。
配管勾配値は屋内配管と屋外配管で異なり、配管サイズ毎に変わってきます。
屋内配管勾配値
| 配管サイズ | 配管勾配値 |
| 65A以下 | 1/50 |
| 75A~100A | 1/100 |
| 125A | 1/150 |
| 150A以上 | 1/200 |
屋外配管勾配値
| 配管サイズ | 配管勾配値 |
| 100A | 2.0/100 (1/50) |
| 125A | 1.7/100 (1/58.8) |
| 150A | 1.5/100 (1/66.7) |
| 200A | 1.2/100 (1/83.3) |
屋内配管については国交省の基準で数値が決められていますが、屋外配管については地方自治体や設計・建物によって勾配値の考え方が異なる場合がありますので注意してください。
また、空調ドレン配管は天井内の納まりの関係でサイズに関わらず1/100勾配に変更することが多くあります。
しかしあくまで基準値は50Aの場合は1/50が基本なので、他の現場で1/100だからといって安易に変更せず現場毎に必ず確認を取るようにしましょう。
・
配管勾配の作図方法
まずは配管勾配の作図方法ですが、大きく分けて2つあります。
1つ目が「配管作図時に勾配を付ける」方法で、2つ目が「配管作図後に勾配を付ける」方法です。
個人的なオススメは2つ目ですが、まずは各方法をご紹介します。
①配管作図時に勾配を付ける
基本的なルーティングにて配管を作図する際に、サイズやレベル設定と合わせて勾配値を入力することができます。


作図開始点を基準として、「上り勾配・下り勾配」を選択できます。
配管サイズに対して追従しているわけではないので、勾配値は自分で手入力する必要があります。
最初に設定することで、エルボや分岐などの配管にも勾配が自動作図されていくので納まりをイメージしながら作図することができます。
・
②配管作図後に勾配を付ける
どちらかというと配管作図後に勾配を付加する方が主流かと思います。
一度水平で配管を作図してしまい、作図が完了した段階で勾配を作図します。

例えばこんな感じで配管が一通り作図完了している状態で、排水管に勾配を設定します。
『空調/衛生→勾配→一括付加』を選択し、最下流に当たる立管やメイン管の立下り部分を選択します。

選択後にENTERを押すと、配管が繋がっている系統全体が選択され、勾配値を入力する画面が出てきます。

「管径別の設定値を使用(排水系のみ)」では、「設定」で登録された管径毎の勾配値が自動作図されます。
TFASの初期設定では国交省の屋内配管の勾配値に準じているので、屋内配管であれば設定値を選択でOKです。
屋外配管や基準値と異なる空調ドレン配管に勾配を設ける場合、「勾配値を指定」にて個別設定しましょう。
設定が完了したらENTERで決定し設定値の勾配が自動作図されます。

注意点として、排水管の分岐部分をLTなどにした状態でその先に配管や掃除口の絵が無いと、一括勾配で作図した際に枝管に勾配が作図されません。

この場合、施工時にはエルボか掃除口を設けるので、作図上も掃除口を設けることで勾配漏れにならないので注意しましょう。

・
配管勾配の変更・ルート修正方法
勾配配管の作図で一番苦労するのがルートやレベルの修正作業だと思います。
これについてはやり方・方法がいくつかあり人それぞれ異なると思いますが、私なりに一番堅実で間違いない方法をご紹介しておきます。
まず、勾配の付いた配管は基本的に勾配の付いたまま修正は行いません。
入念に気を付ければ修正や追記は可能ですが、勾配が途中で変わってしまったり接続が途切れてしまったりとトラブルが多く、
そして一度接続が離れてしまった配管を修正するのは一苦労です。
勾配配管を修正する場合は、毎回勾配を一括解除することが賢明で確実です。
『空調/衛生→勾配→一括戻し』を選択し、作成時と同様最下流部の立管を選択します。
上流部を選択で部分的に勾配を戻すこともできますが、すべて戻す場合はこの状態でENTERをクリックします。

各種条件の選択ができますが、特にすべて水平にするだけであれば選択は気にせずそのままENTERを押してください。
これですべて勾配が戻るので、水平状態の配管を通常通り配管のルーティングや変更、レベルの修正などを行いましょう。
一見面倒にも思いますが、最終的にこれが一番確実ではないかと思います。
もし梁に干渉したら、全体で何ミリ下げればいいかを確認したあと水平にし、配管を全体的に下げてからまた勾配を付ける。
ここでワンポイント!

断面図を開いた状態で『一括戻し』を行うと、同一系統をすべて断面に起こすことができるので、全体のレベルを修正したいときに便利です。

また、配管が直管に対して1エルボ以上ないと勾配を付けたり戻すことができません。また継手に対して勾配戻しができない場合があります。
『一括戻し』で枝管が分裂してしまった際、枝管の勾配が戻せず苦労したときは、継手に直管を少し足してから枝管の勾配を戻して、メイン管と同一レベルにしてから水平状態で接続しなおしましょう。
接続が離れた状態や勾配値を付けていない状態では、3Dの納まり取り合いで検討漏れにつながってしまい現場での大きなトラブルの要因になりかねません。
無駄なく無理なく作図するためにも、面倒でも毎回勾配の付加と戻しを繰り返して作図することが、きれいに作図する一番の近道だと思うのでぜひ参考にしてみてください。
・


