2023年10月より、ついにインボイス制度が開始となりました。
フリーランスだけでなく様々な会社・業界に影響を与えるこのインボイス制度ですが、
もちろん個人で事業を行っている図面屋さんにとっても避けては通らない課題になると思います。
まず初めに、当社は2023年10月より課税事業者として登録する運びとなりました。
ここ1年でインボイス制度の注目が急激に高まりましたが、そもそも制度の導入自体は平成28年にすでに決定しています。
私が独立を準備し始めた2020年頃すでに、起業を志す人たちの間ではそこそこ注目を集めていました。
免税事業者は売上1000万未満の事業者が主な対象となりますが、1000万以上の事業者でも課税対象になるのは最大2期先のため、
個人事業と法人で合わせて最大4年間は免税事業者で居続けることができます。
私は2020年10月に独立したのですが、MAX4年受けるにはすでにインボイスが影響してくることが分かっていたため、
個人的には想定していた通りに納税義務の免除を受け、課税事業者登録を行うことになりました。
インボイス制度が始まってもこの免税制度自体がなくなるわけではありません。
フリーランスで年間売上が1000万未満であれば、引き続き免税事業者でいることができます。
しかし図面屋さんや建設業のフリーランスの方は、基本的に法人を相手にするBtoBの事業ですので、
免税分の負担を元請けがするとなれば避けては通れない大きな障害となってしまいます。
建設業ではフリーランスの図面屋さんに限らず、現場の一人親方、個人事業の外注監督さんなど、
様々な形で個人事業の方が働いています。
個人事業主が多ければ「インボイスを理由に契約しない」なんてことは起こりづらいだろうと思っていましたが、
ゼネコンやサブコンが直に個人事業主と契約している場合は極端に限られてくるため、
実際には免税事業者に対しては、請求から消費税分のカットや課税事業者になることを勧めてくるパターンが
多くなってくるのではないかと思います。
元請けは免税事業者を把握した上で請求処理を行わないといけないため、管理が煩雑になってしまいますから。
インボイス制度には、元請け側への措置として「経過措置」の期間があります。
免税事業者からの仕入れから令和8年10月まで80%、令和11年10月まで50%の控除が可能になるので、
実際に免税事業者に対して「消費税を丸々カットして」と言ってくる会社は少ないかもしれません。
しかしここが難しいところで「消費税を8%にして」とか「売上を2%引いて請求して」というのは
優越的地位の濫用とみられる可能性もあり、また実際に請求書を見ても値引きの判断が難しく依頼しづらいです。
また仮に会社間で”2%値引き”を取り決めしても、現場毎にそれを把握し管理することは非常に困難です。
結果的に”免税事業者には発注しづらい”状況になる可能性が高くなるのかもしれません。
ただ、元請け側に「経過措置」があるように、免税事業者側にも「特例措置」が存在します。
2割特例というものを適用すれば、簡単に言えば令和9年までの免税期間は「預かった消費税の2割程度納めればいい」ため、
元請けからは課税事業者として10%分の消費税を受け取り、2%のみ納めて最終的に8%は免税となり受け取れます。
これを使えば売上から2%引かれたのと同じ条件になるため、元請けにとっての”面倒な免税事業者”にならずに済みます。
もし主要取引先が売り上げや消費税のカットを求められた場合は、課税事業者になってしまうのも一つの手かもしれません。
私もこの特例措置を利用することで速やかに課税事業者になることを決めました。
売上が5000万以下であれば簡易課税の適用もされ、2割特例との選択もできます。
これから図面屋さんとして、フリーランスとして独立を志す方にとって不安材料であることは確実だと思います。
特例があっても課税事業者になれば経理業務が煩雑になることは確実です。
フリーランスになると普段の請求処理や確定申告などの負担が最初に重くのしかかってきます。
フリーランスにとって大切なことは、しっかり仕事をこなし、多くの取引をして実績を作ることです。
課税事業者になるべきかどうかは、主要取引先となる元請けの対応などをみて慎重に判断しましょう。